心のクセシリーズ 第2話

メンタルヘルス

「大丈夫」と言われても、不安が消えないあなたへ。

「大丈夫だから。」

そう言われたのに、不安が消えなかったことはありませんか。

恋人から。

家族から。

友達から。

職場の上司から。

そして、カウンセリングの中でも。

「先生、大丈夫って言われても、どうしても安心できないんです。」

そんな言葉を聞くことがあります。

私はそのたびに思います。

この人は、人を信じられない人なんじゃない。

本当は、誰よりも信じたい人なんだ。

でも、心がまだ追いついていない。

そんなふうに感じます。

沖縄は「ゆいまーる」という言葉があります。

困ったときは助け合う。

支え合う。

とても温かい文化です。

でも、その温かさを素直に受け取れない人もいます。

「迷惑をかけるかもしれない。」

「いつか離れていくんじゃないかな。」

「今だけ優しいだけかもしれない。」

本当は近づきたい。

でも、近づくのが怖い。

そんな気持ちを抱えている人は少なくありません。

精神科で働いていると、

「こんなに優しくされたことがない。」

そう言って涙を流す患者さんに出会うことがあります。

その言葉を聞くたびに、

人は優しさだけで安心するわけじゃないんだと感じます。

安心は、

一回の優しさではなく、

何度も裏切られなかった経験の積み重ねなんだと思うんです。

例えば、小さい頃。

「あとで遊ぼうね。」

そう言われたのに、約束が守られなかった。

「怒らないから話してごらん。」

そう言われたのに、話したら怒られた。

「ずっと一緒だから。」

そう言ってくれた人が、ある日突然いなくなった。

そんな経験が重なると、

心は少しずつ学習します。

言葉だけでは安心できない。

それは弱さではありません。

心が、自分を守る方法を覚えた結果なんです。

だから、

恋人から「大丈夫。」

と言われても、

「本当に?」

と確認したくなる。

「嫌いになってない?」

と聞いてしまう。

何度も同じことを確認したくなる。

自分でも、

「また聞いてしまった。」

そう落ち込む。

でも、その行動だけを見て、

「重い人。」

「面倒な人。」

そう決めつけてしまうのは、少し違う気がしています。

その人は、安心したくて必死なのかもしれません。

日本人は、相手の気持ちを考えることが得意です。

空気を読む。

場を乱さない。

迷惑をかけない。

そんな文化の中で育ってきました。

だからこそ、

相手の表情。

返事の速さ。

声のトーン。

LINEの文章。

そんな小さな変化にも敏感になります。

敏感だから苦しい。

でも、その敏感さは、

誰かを大切に思える力でもあります。

私は、

「安心してください。」

とは簡単には言えません。

安心は、

言葉だけでは生まれないからです。

「今日もこの人は変わらずここにいてくれた。」

「今回も約束を守ってくれた。」

「失敗しても見捨てられなかった。」

そんな小さな経験を何度も積み重ねて、

少しずつ育っていくものだと思っています。

だから、焦らなくていい。

今日も信じられなかった。

今日も不安になった。

それでもいい。

その心にも理由があります。

もしかすると、

今のあなたが信じられないのは、

今、目の前にいる人ではなく、

昔、傷ついた頃の記憶なのかもしれません。

その記憶は、

あなたを苦しめるためではなく、

もう二度と傷つかないように守ろうとしているのです。

だから、

「どうして私はこんななんだろう。」

ではなく、

「ここまで頑張って生きてきたんだな。」

そう自分に声をかけてあげてください。

心はすぐには変わりません。

でも、

安心できる人との出会い。

安心できる時間。

安心できる場所。

そんな小さな積み重ねが、

少しずつ心を書き換えてくれます。

もし今、

誰かの「大丈夫」が信じられなくても、

それはあなたが悪いからではありません。

信じたいのに、

心がまだ怖がっているだけ。

心には、ちゃんと理由がある。

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