「大丈夫」と言われても、不安が消えないあなたへ。
「大丈夫だから。」
そう言われたのに、不安が消えなかったことはありませんか。
恋人から。
家族から。
友達から。
職場の上司から。
そして、カウンセリングの中でも。
「先生、大丈夫って言われても、どうしても安心できないんです。」
そんな言葉を聞くことがあります。
私はそのたびに思います。
この人は、人を信じられない人なんじゃない。
本当は、誰よりも信じたい人なんだ。
でも、心がまだ追いついていない。
そんなふうに感じます。
沖縄は「ゆいまーる」という言葉があります。
困ったときは助け合う。
支え合う。
とても温かい文化です。
でも、その温かさを素直に受け取れない人もいます。
「迷惑をかけるかもしれない。」
「いつか離れていくんじゃないかな。」
「今だけ優しいだけかもしれない。」
本当は近づきたい。
でも、近づくのが怖い。
そんな気持ちを抱えている人は少なくありません。
精神科で働いていると、
「こんなに優しくされたことがない。」
そう言って涙を流す患者さんに出会うことがあります。
その言葉を聞くたびに、
人は優しさだけで安心するわけじゃないんだと感じます。
安心は、
一回の優しさではなく、
何度も裏切られなかった経験の積み重ねなんだと思うんです。
例えば、小さい頃。
「あとで遊ぼうね。」
そう言われたのに、約束が守られなかった。
「怒らないから話してごらん。」
そう言われたのに、話したら怒られた。
「ずっと一緒だから。」
そう言ってくれた人が、ある日突然いなくなった。
そんな経験が重なると、
心は少しずつ学習します。
言葉だけでは安心できない。
それは弱さではありません。
心が、自分を守る方法を覚えた結果なんです。
だから、
恋人から「大丈夫。」
と言われても、
「本当に?」
と確認したくなる。
「嫌いになってない?」
と聞いてしまう。
何度も同じことを確認したくなる。
自分でも、
「また聞いてしまった。」
そう落ち込む。
でも、その行動だけを見て、
「重い人。」
「面倒な人。」
そう決めつけてしまうのは、少し違う気がしています。
その人は、安心したくて必死なのかもしれません。
日本人は、相手の気持ちを考えることが得意です。
空気を読む。
場を乱さない。
迷惑をかけない。
そんな文化の中で育ってきました。
だからこそ、
相手の表情。
返事の速さ。
声のトーン。
LINEの文章。
そんな小さな変化にも敏感になります。
敏感だから苦しい。
でも、その敏感さは、
誰かを大切に思える力でもあります。
私は、
「安心してください。」
とは簡単には言えません。
安心は、
言葉だけでは生まれないからです。
「今日もこの人は変わらずここにいてくれた。」
「今回も約束を守ってくれた。」
「失敗しても見捨てられなかった。」
そんな小さな経験を何度も積み重ねて、
少しずつ育っていくものだと思っています。
だから、焦らなくていい。
今日も信じられなかった。
今日も不安になった。
それでもいい。
その心にも理由があります。
もしかすると、
今のあなたが信じられないのは、
今、目の前にいる人ではなく、
昔、傷ついた頃の記憶なのかもしれません。
その記憶は、
あなたを苦しめるためではなく、
もう二度と傷つかないように守ろうとしているのです。
だから、
「どうして私はこんななんだろう。」
ではなく、
「ここまで頑張って生きてきたんだな。」
そう自分に声をかけてあげてください。
心はすぐには変わりません。
でも、
安心できる人との出会い。
安心できる時間。
安心できる場所。
そんな小さな積み重ねが、
少しずつ心を書き換えてくれます。
もし今、
誰かの「大丈夫」が信じられなくても、
それはあなたが悪いからではありません。
信じたいのに、
心がまだ怖がっているだけ。
心には、ちゃんと理由がある。



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