心のクセシリーズ 第1話

メンタルヘルス

返信が遅いだけで、不安になる

返信が少し遅いだけで、不安になることがあります。

スマホを開く。

閉じる。

また開く。

通知が来ていないか確認する。

LINEを開いて、既読がついているか見る。

何も変わっていない。

それだけなのに、胸のあたりがざわざわする。

「嫌われたかな。」

「何か悪いこと言ったかな。」

「変な文章だったかな。」

頭の中で、勝手に反省会が始まる。

相手は仕事中かもしれない。

運転中かもしれない。

子どもの世話をしているのかもしれない。

お風呂に入っているだけかもしれない。

ただ寝ているだけかもしれない。

頭では分かっている。

でも、心はなかなか納得してくれない。

沖縄だと、車社会なので、運転中に返信できないことなんてよくあります。

58号線を運転しているかもしれない。

那覇の渋滞にはまっているかもしれない。

子どもの迎えでバタバタしているかもしれない。

それくらい、普通に考えれば分かる。

でも、不安な時の心は、普通の答えを選んでくれません。

「忙しいのかな」ではなく、

「嫌われたのかな」を選んでしまう。

「あとで返すつもりかな」ではなく、

「もうどうでもいいと思われたのかな」を選んでしまう。

これが苦しいんですよね。

返信が来ないことよりも、

自分の中で悪い想像が止まらなくなることが苦しい。

そして、そんな自分にまた疲れてしまう。

「私、重いのかな。」

「面倒くさい人間なのかな。」

「こんなことで不安になるなんて、おかしいのかな。」

そうやって、自分を責めてしまう人もいます。

でも私は、少し違うと思っています。

もしかすると、待っているのは返信ではないのかもしれません。

本当に待っているのは、

「大丈夫だよ。」

「嫌ってないよ。」

「ちゃんと大切に思っているよ。」

そんな安心なのかもしれません。

カウンセリングでも、

「返信が遅いだけで不安になるんです。」

「相手の態度が少し変わっただけで、見捨てられた気持ちになります。」

「自分でも考えすぎだと分かっているんです。」

そう話される方がいます。

この「自分でも分かっている」というところが、とても大事だと思います。

本人も、分かっているんです。

考えすぎかもしれない。

相手には相手の事情がある。

すぐに返信できない時もある。

そんなことは、頭ではちゃんと分かっている。

でも、心が追いつかない。

ここに苦しさがあります。

日本人は、相手の表情や空気を読むことがとても上手な人が多いと思います。

職場でも、家庭でも、学校でも、

「迷惑をかけないように」

「嫌われないように」

「空気を壊さないように」

そうやって頑張ってきた人は多いのではないでしょうか。

だからこそ、少しの変化に敏感になります。

返信が短い。

絵文字がない。

いつもより冷たい気がする。

既読はついたのに返事がない。

それだけで、

「何かあったのかな」

ではなく、

「私が何かしたのかな」

と思ってしまう。

でも、その敏感さは、ただの弱さではないと思います。

これまでの人生の中で、そうやって人の反応を見ながら生きてきたのかもしれません。

怒られないように。

嫌われないように。

置いていかれないように。

自分を守るために、相手の変化に気づく力を身につけてきたのかもしれません。

だから今も、返信が遅いだけで心が反応してしまう。

それは、あなたが面倒くさいからではなく、

心が一生懸命に自分を守ろうとしているのかもしれません。

もちろん、不安になったからといって、相手を責めたり、何度も確認し続けたりすると、お互いに苦しくなることがあります。

「なんで返してくれないの?」

「私のこと嫌いになった?」

「もういい。」

そう言ってしまったあとで、後悔することもあるかもしれません。

本当は責めたいわけじゃない。

ただ安心したかっただけ。

でも、安心したい気持ちが強すぎると、相手には怒りや束縛のように伝わってしまうことがあります。

ここが、人間関係の難しいところです。

だからまずは、相手に送る前に、自分に聞いてみてもいいかもしれません。

「私は今、返信を待っているのかな。」

「それとも、安心を待っているのかな。」

この問いかけだけで、少し見え方が変わることがあります。

返信が欲しい。

それも本音です。

でも、その奥には、

「私は大切にされていると思いたい。」

「見捨てられていないと感じたい。」

「この関係は大丈夫だと思いたい。」

そんな気持ちが隠れていることがあります。

その気持ちは、悪いものではありません。

人は誰でも、安心したい生き物です。

大切な人に大切にされたい。

つながっていたい。

ひとりぼっちになりたくない。

そう思うのは自然なことです。

ただ、その安心を相手の返信だけに預けてしまうと、心はずっと相手次第になってしまいます。

返信が来たら安心。

返信が遅いと不安。

絵文字があれば安心。

短文だと不安。

それでは、心が休まりません。

少しずつでいいと思います。

すぐに変わらなくてもいい。

「今、私は不安なんだな。」

「返信じゃなくて、安心が欲しいんだな。」

そう気づくことからでいい。

気づけるだけで、少し距離ができます。

不安に飲み込まれるのではなく、

不安を少し横から見られるようになります。

精神科で働いていても、カウンセリングで話を聴いていても思います。

人の行動には、だいたい理由があります。

自分でも分からない不安にも、ちゃんと背景があります。

だから、

「こんなことで不安になる自分はダメだ」

と責めなくていい。

あなたがおかしいわけではありません。

心が、安心を探しているだけなのかもしれません。

もし今、返信が来なくて苦しくなっているなら。

スマホを握りしめたまま、何度も画面を見てしまうなら。

まずは、少しだけ深呼吸してみてください。

そして、自分にこう言ってみてください。

「私は今、不安なんだ。」

「安心したいんだ。」

「そう思うのには、きっと理由があるんだ。」

返信を待っているんじゃない。

安心を待っている。

そう気づけた時、

少しだけ、自分への見方が変わるかもしれません。

心には、ちゃんと理由がある。

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