病院で働いていると、ご家族から
「最期に会えてよかった」
という言葉を聞くことがあります。
もちろん、大切な人を失った悲しみが消えるわけではありません。
それでも、その言葉には大きな意味があるように感じます。
人は大切な人との別れの中で、悲しみだけではなく後悔も抱えることがあります。
「もっと会いに来ればよかった」
「ありがとうを伝えればよかった」
「ちゃんと話したかった」
こうした思いは、亡くなった後も長く心に残ることがあります。
一方で、最期の時間を共に過ごし、
手を握ったり、
感謝を伝えたり、
静かにそばにいたりすることで、
悲しみはあっても、
「できることはできた」
という感覚につながることがあります。
これは悲しみをなくすためではなく、悲しみと向き合うための大切な時間なのかもしれません。
見取りの場面で大切なのは、医療だけではありません。
本人と家族が「さよなら」を言える時間。
その時間は、残される人の心を支えるグリーフケアにもつながっているように思います。
私自身、病院で多くのご家族と関わる中で、
人は亡くなる瞬間だけではなく、
その前後の時間によっても別れ方が変わるのだと感じています。
だからこそ、
もし大切な人との時間が残されているなら、
特別な言葉でなくてもいい。
「ありがとう」
その一言を伝える時間を大切にしてほしいと思います。



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